その1:発熱についてのQ&A

  毎回少しずつ、皆さんに知っていてほしい事柄を掲載していきます。

このコーナーでは、多くの方々が誤解なさっていると思われる事項の解説を中心にして、大切な医学的知識をわかりやすくレクチャーすることを目指していきます。

Q.高い熱が続くと脳がやられないのでしょうか?

A.高熱そのものによって脳が障害されるというのは迷信です。熱の原因が脳炎、脳症のように脳を壊す病気であれば障害が残る可能性があります。脳と関係ない疾患が原因で熱が続いたことによって脳が障害されることはありません。
「熱で脳が壊される」と信じているために不必要な恐怖にかられている方が何と多いことかといつも感じています。

Q.熱は解熱薬を使って下げなければならないのでしょうか?

A.先に述べたことから、「絶対に下げなければならない」と考える理由は何もありません。熱のためにぐずって眠らないときや頭を痛がるときなどに必要最小限に使用する程度が望ましいと考えています。

Q.解熱薬を使うことに悪い(有害な)面もあるのでしょうか?

A.発熱は体の防衛反応であり、本当は体温を上げた方が体が細菌やウイルスと闘うために有利になると考えられています。したがって、解熱薬によって熱を下げることは体が敵と闘うのを邪魔しているという一面も確かにあるようです。解熱薬を使った方が最終的に病気(感染症)が治るのが遅くなるということを示す研究はいくつもあります。

Q.解熱薬がききにくいということは、
 病気が極めて重症であることを示すものであると考えるべきなのでしょうか?


A.そんなことはありません。こども用の解熱薬は作用が穏やかなものですので、使ってもあまり下がらないこともあります。解熱薬を使ってすぐに(十分に)熱が下がるかどうかと重症であるかどうかとは別の問題です。

                ・・・・・・・・つづく