▽熱中症について知っておきましょう。

◆熱中症とは?

高温多湿の環境下で長時間にわたりスポーツや作業を行うときや、乳幼児では過度の厚着をしたり、
炎天下で窓を閉め切った車内に放置されることにより発症する熱性障害は、一般に熱中症と総称されます。
熱中症は重症度や症状により、(1)熱けいれん、(2)熱疲労、(3)熱射病の3つに分類され、
この中では熱射病が最も重症です。



◆どうして熱中症になるのですか?乳幼児に起こりやすいのはなぜですか?

 体温を一定にするためには熱の放出量が熱産生量と等しくなければなりません。
熱の放散には皮膚や肺からの伝導、対流、輻射、蒸排の4つの方法があります。
乾燥している場合は、環境温度が10℃から60℃の範囲では体温の自動調節能により、
体温を1℃以内の変化で調節することができます。環境温度>皮膚温(37℃程度)になった場合、
伝導、対流、輻射による熱の放散が停止し、発汗による熱蒸排が重要になります。
湿度が75%以上になると熱蒸排が低下し、湿度が90%以上の環境下ではこの作用がほとんどなくなり、
熱中症が起こりやすくなります。
乳幼児では対表面あたりの熱産生が高く、発汗による熱蒸排はゆっくりであるため、熱中症が起こりやすいと言えます。



◆どんな症状が見られますか

(1)熱けいれん・・・「熱性けいれん」と混同されませんように。!
 運動や作業をしているときや休憩直後に、
 突然発症する短時間、間歇的で痛みのある筋肉のけいれん(こむらがえり)です。

(2)熱疲労・・・高温多湿の環境下で激しい運動や長時間の起立などをしたときに発汗し、
          大量の水分(細胞外液)を喪失したときに発症します。
 倦怠感、頭痛、脈が速い、起立性低血圧などの症状が出ます。
 深部体温は40℃以下です。意識は通常保たれていますが、
 少しおかしなことを言ったりすることがあります。放置すると熱射病に移行することがあります。

(3)熱射病(heat stroke)
 熱中症の中で最も重症型であり、緊急治療を要します。
 体温の自動調節能が失われ、急速に体温が上昇します。高度の発熱(41℃以上)、
 脱水、中枢神経障害(意識がおかしい)が3大症状です。

a)非運動性(古典的)熱射病
 老人や乳幼児、肥満者、心臓病などの基礎疾患を持っている人などに発症しやすいものです。
 小児では夏の換気のない車内に長時間放置された場合に起こります。
 意識が障害され、適切な治療が行われなければ死に至ります。

b)運動性熱射病
 スポーツのトレーニング中に多いもので、高温多湿下で急激に高体温となり、意識障害を認めます。
 熱射病の重症例では脳出血、脳浮腫、循環不全、多臓器不全、血液凝固異常を併発し、
 死に至ることがあります。



◆どのような治療を行いますか

(1)熱けいれん
 涼しいところやクーラーのある部屋で安静に保ち、塩分を含む水分を補給します。

(2)熱疲労
 涼しい環境下におきます。口から飲める場合は水分を与え、
 意識がどろんとしている場合には医療機関で点滴による水分補給を行います。

(3)熱射病
 医学的救急処置(病院への救急搬送)が必要です。
 現場では患児をすみやかに暑いところ(熱源)から移動させます。
 病院への搬送時には衣服を取り除き、クーリングパットやアイスパックを体に当て、
 扇風機などで風を送って冷やします。
 冷水を皮膚に噴霧し、乾燥するのを防ぎます。四肢の循環を改善させるようにマッサージします。
 解熱薬は熱中症では有効ではありません。

 呼吸、心拍がしっかりとしていない(呼吸停止や除脈など)場合には、心肺蘇生法を実行してください。



◆予防のために気をつけるべきことは?

(1)乳幼児は過度の厚着を避けましょう。

(2)夏季の外気温が30℃以上の場合、窓を閉め切った車の中の温度は15分で60℃以上にも達します。
   乳幼児を決して車内に放置しないでください。

(3)夏場は急激な運動は避け、徐々に運動量を増加させるよう努めましょう。

(4)運動を開始する前に十分に(塩分を含んだ)飲み物をとり、
   運動中や運動後も(塩分を含んだ)飲み物を摂取してください。



「財団法人日本体育協会」の公式サイトに「熱中症予防のための指針」が記載されています。
 ぜひお読みください。


▽病気の見分け方と救急処置方法

  急なときこそ落ち着いた対処が必要です。慌てない様に基礎知識を一緒に勉強しましょう。

 このコーナーでは、子どもさんが重大な病気であるかどうかを判断する方法や
家庭での救急処置の仕方について少しずつお知らせしていきます。


その1 : 絶対的な救急

次のような状態のときは絶対的な救急であると考えてください。

 お子さんが次のような状態のときは、すぐに受診してください。

 ●ぐったりして精気がなく、覚醒しない。
 ●次第に呼吸しづらくなっている。
 ●出血が止まらない。
 ●皮膚や唇が青〜紫色になっている。
 ●けいれんを起こし、意識を失っている。
 ●口や顔の大きなけが。
 ●激しい痛み。次第にひどくなる痛み。
 ●深い傷や「やけど」。
 ●頭を打った後に意識を失った。
  またはボーッとしている。激しい頭痛や繰り返す嘔吐がある。
 ●よびかけに対して反応しない。反応がおかしい。


その2 : 「絶対的な救急」に該当するとき、どうしたらよいでしょうか。

  落ち着いた適切な対応が“最善の結果”につながります。

 ●まず、落ち着きましょう。
 ●呼吸、脈を診ましょう。呼吸、心拍が停止していれば、心肺蘇生法を実施しましょう。
  救急蘇生法を解説しているサイトの一例> http://square.umin.ac.jp/enzan119/
 ●出血していれば、清潔な布で圧迫しましょう。
 ●けいれんを起こしているときは、床に寝かせ、顔を横に向けましょう。
  (けいれんを起こしているときに吐くことがあり、
   吐物を気管に飲み込んで窒息することがあります。これを防ぐためです。)


 ※いざというときのために、以下のことをメモしておきましょう。
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    あなたの電話番号と住所、携帯電話の番号、頼りにできる知人の電話番号、
    かかりつけ医の電話番号、救急車を呼ぶときの番号(119番)
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

 ●お子さんが薬物や洗剤などを誤飲したときは
   電話で対処法を教えてくれるサービスがあります。
  ※石ころ、ビー玉などの誤飲は対象外です。
  >中毒110番(Q2ダイアルではなく、通常の通話料のみでかけられます。)
   072−727-2499 中毒110番(大阪)24時間受付
   029-852−9999 中毒110番(つくば)9〜21時受付
  >タバコ誤飲専用電話:072−726−9922 24時間対応。無料。